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初の柔道黒帯女性や校庭の桜~鬼灯塾展・同好会展

美人画の巨匠で日本美術院理事・中村貞以(なかむら・ていい)画伯(1900~1982)の愛弟子・山内清冶(やまうち・せいじ)さん(73)と、その弟子(女性画家)8人の作品を集めた第3回「鬼灯塾展(ほおずきじゅくてん)」と、山内さんらが発足させた第50回「橋本絵画同好会展」が、6月20日、和歌山県橋本市東家の橋本市教育文化会館4階で始まった。22日(日)まで。入場無料。
山内さんは昭和39年(1964)、橋本・伊都地方の画家を集めて「橋本絵画同好会」を旗揚げ。さらに自宅近くに「鬼灯庵」を設立し、日本画の「鬼灯塾」を主宰、真髄を伝えてきた。
この日、「鬼灯塾展」会場には作品約30点を展示。山内さんは約35年前、和歌山県内の柔道で、初の黒帯(初段)女性となった、きりりと引き締まった柔道着姿の「帰郷 律子像」や、柿渋色の羽織姿で正座した色白女性「M女」など9点を出展。弟子の浦木ひとみさんは、今は母親になった娘が、シャボン玉を吹いて、かわいい孫をあやしている姿を描いた「シャボン玉」、坂東壽々子(ばんどう・すずこ)さんは、5つの大輪を咲かせ、さらに2つの蕾(つぼみ)が見える月下美人を描いた「月華(げっか)」を出展するなど、弟子の作品約20点を掲げている。

会場隅には珍しい〝うちわ絵〟コーナーも設置。うちわの1枚1枚には、弟子たちが、芸者や紫陽花、馬など、思い思いの心象風景を軽いタッチで描いた計25枚で飾った。山内さんは「皆さん、よく対象をご覧になり、しっかり描いています」と講評。「私はすでに、目が衰えてきて、筆先が見づらい。絵を描くのは大変ですが、それでも、描きたい気持ちは尽きず、心新たにして、新たな日本画製作に挑みたい」と語った。

一方、「橋本絵画同好会展」は、会員43人の85点を展示。うち今年の「紅葉」をテーマにした作品22点を出展。例えば、中山敏和(なかやま・としかず)さんの「秋の道」は、一本の蛇腹道(じゃばらみち)が、紅葉並木(もみじなみき)の奥深くへ続き、そこを夫婦、あるいは友人同士の、二人連れが静かに歩いている情景。また別に、寺田宗功(てらだ・むねはる)さんの「校庭の桜」は、国の重文・高野口小学校と桜の古木が描かれていて、隆々とした幹、満開の桜、木造校舎の窓から、子供たちの過ごした、懐かしい歴史がしのばれる。

会長の高橋佳子(たかはし・けいこ)さんは「今年のテーマは『紅葉』で、私たちは昨年秋、奈良県・天川村へ写生に行きました。紅葉と一口に言っても、赤色を使うのは、なかなか難しいのですが、作品には見事に個性が現れ、よく季節感が出ていると思います」と話していた。

展示時間はいずれも午前9時半~午後5時(最終日は午後4時)まで。

写真(上)は「鬼灯塾展」山内さんの「帰郷 律子像」。写真(中)は「鬼灯塾展」浦木さんの「シャボン玉」。写真(下)は「橋本絵画同好会展」中山さんの「校庭の桜」。


更新日:2014年6月21日 土曜日 00:10

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