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子供らに組子細工伝承~池田さん〝マスター〟認定

日本の家を飾る欄間(らんま)や額(がく)に、美しい絵模様をあらわす紀州高野組子細工「きのくに・ちぎれはめ込め技法」を編み出した木工芸家・池田秀峯(いけだ・しゅうほう=本名・秀孝)さん(66)=和歌山県橋本市東家=が、厚労省の〝ものづくりマスター〟に認定され、さらに公益財団法人・明治安田クオリティーオブライフ文化財団から「地域の伝統文化・助成金」を支給されることになった。池田さんは、これを受けて4月10日、「高野山をルーツとする素晴らしい組子細工を小中学、高校生に伝承したい」と語った。
池田さんは昭和21年(1946)橋本市生まれ。父が創設した池田清吉(せいきち)建具の2代目、紀州高野組子細工師7代目。昔ながらの組子細工を基本に独自の〝きのくに・ちぎれはめ込め技法〟を発案した。
高野山金剛峯寺承認/厚生労働省認定一級技能師、和歌山大学学生自主創造センターシニアアドバイザー。今春には和歌山県の「職業訓練指導員」、厚労省の「ものづくりマスター」に認定されたうえ、同文化財団から「地域の伝統文化・助成金」31万円を支給されることに決定した。
池田さんは平成9年、天皇・皇后両陛下の御来県記念に勇壮な鯨(くじら)の姿を表した衝立(ついたて)「勇泳」を、同11年には明治神宮に額「桜漫(ろうまん)の冨士」を献上。その後も、橋本市役所に欄間(らんま)「橋本の夏祭」、JR・南海橋本駅に額「彩雲遠望(さいうんえんぼう)」、和歌山大学に額「高野山黎明(れいめい)」を寄贈。
今は弘法大師・空海の「高野山開創1200年記念大法会」に向けて、組子細工を用いた産品を開発する一方、郷土の小学生に組子細工を教えている。
池田さんは、今回の「地域の伝統文化・助成金」を次のような〝組子細工教室〟に生かすことにした。
▽4月16日~5月11日=橋本市高野口町の橋本市IT地域交流センター「裁ち寄り処」で、紀州組子細工展示会を開き、4月26日午後2時~5時、組子細工教室を開催。来訪者に技術を体験してもらう。
▽平成26年度中=橋本商工会館で「木工教室」を開き、橋本市少年少女発明クラブの子供たちに組子細工の技術を教え、将来、立派な科学者になる基礎を学んでもらう。
▽平成27年1月15日~2月5日=橋本市立橋本小学校で組子細工教室を開催。校歌の歌詞を飾るジャンボな額(高さ約1メートル、幅約1・5メートル)の制作に挑む。この作品作りは毎年開催し、先輩から後輩へ作業を伝承、10年後の橋本小学校創立150周年に完成させる。
池田さんは「今のところ、小中学生を対象に、組子細工を体験してもらっていますが、将来は高校生にも木工技術の素晴らしさを知ってもらい、それが人々の将来、地場産業発展の一助になればうれしいです」と話した。
写真(上)は組子細工の大作「高野山黎明(れいめい)」制作に取り組む池田さん。写真(中)は子供たちに組子細工の説明をする池田さん。写真(下)はミニ屏風の制作に打ち込む池田さん。


更新日:2014年4月11日 金曜日 00:02

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