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五光の滝、景観復活へ~上西さん巨大根株に挑む

昨年夏の台風・豪雨で、流木や土砂で破壊された和歌山県橋本市宿の玉川峡・五光の滝(ごこうのたき)の景観を取り戻そうと、地元の「やどり地域振興協会」理事長・上西進(うえにし・すすむ)さん(76)が、流木の搬出や山道の整備に取り組んでいる。橋本市も復旧予算39万8000円をつけ、近く作業に着手し、3月末までに景観を復旧させることになっている。
五光の滝は、幾筋もの水が一本にあざなわれて流れる、落差約30メートルの美しい滝。温泉宿泊施設「やどり温泉いやしの湯」の西約200メートルの距離にあり、玉川峡の中でも筆頭格の名所とされている。
霊峰・高野山と並ぶ、標高約900メートルの七霞山(ななかすみやま)を源流とし、山上の台地で川となって田畑を潤したあと、やがてこの屹立(きつりつ)した崖の切れ目から、一気に瀑布にすがたを変える。
古くから山伏や修行僧の行場となり、日光が差して五色の虹が懸ったことから〝五光の滝〟という名がついた。滝の中程あたりの崖には、不動明王の石像があり、崖に至る所々に賽銭(さいせん)として、5円や10円、100円玉が落ちている、霊験あらたかな舞台となっている。
ところが、昨年9月、紀伊半島を襲った台風18号・豪雨の影響で、滝は瀑布と変貌し、上流から流れてきた巨大な木の根株、太い幹とともに、土砂も流出。滝壺の周辺はその根株と幹、下流域は土砂で埋まり、築いていた石段も一部が崩れる始末。もちろん滝の川がそそぐ玉川(紀伊丹生川)も氾濫し、川沿いの国道371号線も大量の土砂で塞がれた。
その後、和歌山県や橋本市の復旧作業や、自然の水流の勢いにより、今では、玉川・犬戻り上流で、ほとんど原状に復帰したが、〝五光の滝〟については、手つかずの状態が続いていた。土砂は玉川に自然排出されたものの、巨大な根株は滝壺を塞いだまま、石段も崩れたままの恰好。このため、これまで滝見物に訪れていた「やどり温泉いやしの湯」の温泉・宿泊客は、危険なうえ、景観も無残な有様なので、立ち寄らなくなっている。
そこで上西さんは「せっかくの観光ポイント、早く、なんとかしなければ」と決心。根株を国道まで搬出できるように、チェーンソーで切断したり、崩れた石段を元に戻して土で固めたり、こつこつ復旧作業に取り組んでいる。橋本市は〝五光の滝〟の復旧予算を含め、その周辺の復旧予算計約250万円で、近々、復旧工事に着手する。上西さんは「ここは温泉から近場で、その風景は絵になり、詩になり、音楽にもなる、心の癒される場所。玉川峡の宝物ですからね」と、76歳の体にムチ打っていた。
写真(上)は五光の滝の滝壺にたまった根株をチェーンソーで切断する上西さん。写真(中、下)は下流の土砂や石、木の枝を取り除く上西さん。


更新日:2014年1月29日 水曜日 01:31

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