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独自の〝組子細工〟発案~池田さん紹介冊子発刊

日本の家を飾る欄間(らんま)や額(がく)に、美しい絵模様をあらわす紀州高野組子細工「きのくに・ちぎれはめ込め技法」を編み出した木工芸家・池田秀峯(しゅうほう=本名・秀孝)さん(66)=和歌山県橋本市東家=の、略歴や仕事内容について、写真や文章で紹介したカラー冊子が発刊された。冊子は橋本市の小中学校や伊都郡内の高校などに配布する予定で、池田さんは「高野山麓の一職人が、何を求め、何をしているかを、知っていただけたら」と言っている。
池田さんは、和歌山市の公益財団法人わかやま産業振興財団の中小企業元気ファンド(新産業育成事業)のバックアップを得て、冊子(カラー刷り8ページ)2000冊を発行した。その表紙は、雲間に寺院の塔がそびえ、緑豊かな高野山の風景を、独自の〝きのくに・ちぎれはめ込め技法〟で表現した作品「天空の世界」で飾っている。
冊子の冒頭では、池田さんの略歴・功績を年代順に紹介し、〝紀州高野組子細工〟や〝きのくに・ちぎれはめ込め技法〟について、わかりやすく説明。70数枚の写真で、池田さんの仕事風景、作品の特徴を紹介している。
池田さんは、昭和21年(1946)、橋本市生まれ。父が創設した池田清吉建具の2代目、紀州高野組子細工師7代目で、昔ながらの同細工を基本に〝きのくに・ちぎれはめ込め技法〟を発案した。
今は、高野山金剛峯寺承認/厚生労働省認定一級技能師で、和歌山大学学生自主創造センターシニアアドバイザー。地元の小学校や橋本商工会館などで、組子細工の講師を務めている。
一方、平成9年には天皇・皇后両陛下の御来県記念に勇壮な鯨(くじら)の姿を表した衝立(ついたて)「勇泳」を、同11年には明治神宮に額「桜漫(ろうまん)の冨士」を献上。
その後も、橋本市役所に欄間(らんま)「橋本の夏祭」、JR・南海橋本駅に額「彩雲遠望」、和歌山大学に額「高野山黎明(れいめい)」を寄贈。今は弘法大師・空海の「高野山開創1200年記念大法会」に向けて、組子細工を用いた産品を開発中と記している。
池田さんは、冊子の中で、「自然とともに」と題し、自らの心境を次のように綴った。
「生まれも育ちも和歌山県橋本市。
豊かな自然に囲まれ、子ども時代は思う存分、外遊びを堪能しました。
木は友達でしたから、
建具の仕事は自然と自分になじむものでした。
組子細工を本格的に始めたのは、二十歳過ぎの頃。
アルミサッシに組子を施してほしいという依頼がきっかけでした。
一つの仕事を極めるのであれば、伝統的な技を身につけるのはもちろんのこと、同時に自分の技を進化させることも必要です。
伝統的技術、独自の技術、双方を、後世にたくさん残したい。
そんな思いで、腕をみがいてきたわけですが、
職人というものは、よい素材、よいモチーフに恵まれることが最も大切です。
紀州高野組子細工では、樹齢三百年を超える高野六木を用います。
強く、光沢がよく、加工しやすいという性質のよさに加え、聖地のパワーをとても感じます。
地産地消、地元林業の繁栄に少しでも貢献できれば、という願いもあわせ、感謝と畏敬の念をこめて使わせていただいています。
紀の国の母なる川、紀の川。
世界遺産に登録された、熊野三山への参詣道と高野山。
白浜、那智勝浦等の観光地。
柿、みかん、はっさく、梅、山椒、じゃばら等の農業。
マグロ、カツオ、ハモ、タチウオ、クエ等の漁業。
和歌山の地に生まれ育ち、誇れるものは尽きません。
豊かな自然を守りたい。
歴史、信仰を大切にし伝えていきたい。
この地で、そんな思いで突き進んできたからこそ、
独自の紀州高野組子技術「きのくに・ちぎれはめ込め技法」に出会えたのだと思います。
きのくに・ちぎれはめ込め技法は、
橋本より広くせかいに向かって発信していく技術です。
これからも、伝統技術の継承、
独自技術の進化、
そして和歌山の発展を願い、日々精進していくつもりです。
たくさんの方々に感謝の思いを込めて」
なお、冊子・希望者は、池田さんに連絡のうえ、橋本市野212の6、池田清吉建具(電話0736・32・8270)に行けば、もらえることになっている。
写真(上)は冊子に紹介された池田さんの製作風景。写真(中)は発刊された池田さんの冊子「紀州高野組子細工」。写真(下)は冊子の中身=右上は天皇・皇后両陛下が和歌山県をご訪問時に、県から依頼され献上した衝立「勇泳」。

更新日:2013年8月29日 木曜日 00:44

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