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日本の美ここに…高野口小で着尺展示や織り体験

京都造形芸術大学・通信教育部美術染織コースの卒業生の作品展「おりのわ和歌山~2013~木魂のひびき」が、3月31日、和歌山県橋本市高野口町の市立高野口小学校で始った。年齢も様々な卒業生が、丹精込めて作った着尺(きじゃく)やタペストリーなど、いずれも素敵で、訪れる人たちを魅了している。4月4日(木)まで。入場無料。
同展は宮崎県、東京都についで3回目の開催。今回は、同造形芸術大卒で、高野口小学校出身の岩峪喜美枝さんが「作品展の会場には、昭和12年築造の母校(日本最大級の木造校舎)がふさわしい」と考え企画。井澤清校長の快諾を得て開催した。
第1会場(多目的教室)では、岩峪さんの着尺「秋霖(しゅうりん) 慈悲の雨」や、山口県の有吉啓子さんの着尺「星降る町伝説」など計8点を展示。パイル織物・再織りの本場、高野口町の紀州繊維工業協同組合から借りた〝織り機〟2台で、ワークショップ「芽ぶき」と題した織物体験も実施。最終日の午後には、体験者が織った全作品をつなぎ合わせ、廊下に飾るという。
第2会場(図工室)では、兵庫県在住の建築士で同造形芸術大卒の豊崎洋子さんの綴り織り「雨上る」や、岩手県の古川真理さんのホームスパンのショール、福島県の塩谷奈津紀さんの平織りの帯など計13点と、教員の作品2点を展示している。
古川さんと塩谷さんは、大学で学んだ染織精神や技術を、それぞれの郷土の伝統産業に生かし、「羊毛の手つむぎ」や「苧麻(ちょま)の栽培、糸作り、からむし織り」に取り組んでいて、今回、オリジナル作品を出展した。
豊崎さんは数年前、古くなった高野口小学校が撤去されそうになった際、「文化財的価値が非常に高い」として、他の建築士とともに保存を主張し、校舎保存を実現した一人。その作品「雨上る」も街の石畳だろうか、鮮明な輝きを放つ。「私たちの両親、つまり大正時代の日本人は、着物で生活していましたが゜残念ながら、現代は欧米化され、着付けや手入れ、保存が大変な着物を遠ざけています。着物は日本人の心を引き締め、動きを美しくしますから、歌舞伎見物など、極力、和装を心掛けてほしいです」と語った。
古川さんは、ホームスパンは明治時代、イギリスから技術導入し、今は岩手県盛岡市や花巻市の伝統産業になっています。私は大学で学んだ力を、このホームスパンに注いでいます」と明るく話した。
高野口小学校は、今、桜が満開で春爛漫。校舎は瓦葺の屋根、教室は木の格子窓、廊下は歩くと約90メートルもある。岩峪さんは「ぜひ、私たちの染織作品とともに、学校の木造建築の素晴らしさを見てほしい」と言っている。
開催時間は午前10時~午後4時。最終日は午後3時終了。同小学校は高野口町名倉226。JR「高野口駅」下車、徒歩8分。車で京奈和自動車道・高野口ICから約5分。
写真(上)は「おりのわ和歌山」で行われている織物体験。写真(中)は着尺など8点が展示された「おりのわ和歌山」会場。写真(下)はホームスパン作品などが展示されている第2会場。


更新日:2013年3月31日 日曜日 21:59

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