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舞鶴引揚記念館へ〝戦争証言の図書〟を寄贈

太平洋戦争中、ソ連軍の捕虜としてシベリアに抑留され、九死に一生を得て帰国した和歌山県橋本市傷痍軍人会会長・阪口繁昭さん(84)は、このほど、京都府舞鶴市字平1584の舞鶴引揚記念館に和歌山県人の戦争体験・証言をまとめた図書3冊を寄贈した。阪口さんは「次世代に戦争の悲惨さが伝われば」と言っている。
寄贈したのは〝戦争を知らない世代へ 和歌山編〟とした「戦争に軋む若者の心(満蒙開拓義勇軍の記録)」、「中国大陸の日本兵」、「私の中の戦場(大陸中国に生きて)」=いずれも創価学会青年部反戦出版委員会・編 第三文明社発行=の3冊。
これらは、JR橋本駅の「ゆかいな図書館」で開催される〝戦争文庫〟に使ってほしいと、善意の市民から寄贈された23冊の中の一部。阪口さんは、同じ図書が2冊あったものについて、「戦争体験者の貴重な証言が、沢山収録されているし、このままではもったいない」と、舞鶴引揚記念館への寄贈を決意。善意の市民の承諾を得たうえ、電車や高速バス、タクシーを乗り継いで、同記念館を訪れ、寄贈した。
阪口さんは、同記念館の長嶺睦・学芸員に面会し、自らのシベリヤ体験を証言。満蒙開拓青少年義勇軍として旧満州(中国東北部)に渡り、中ソ国境で頭に被弾、聴力を失い、ソ連の捕虜としてシベリヤに抑留された。途中、拾った一粒のキャラメルを食べて一命を得たこと、戦友の死骸を極寒の地に積み上げさせられたこと、炭鉱や鉄道建設、白樺(しらかば)伐採などの労役に就かされたことなどを、約2時間がかりで説明した。
たまたま同記念館では、「シベリヤ抑留と引き揚げの「記憶」展が開かれていたので、阪口さんは、シベリヤでの日本兵の過酷な模様を描いた絵画や、記録された写真などを見学。絵葉書も買って帰ったという。
阪口さんは「戦友が虫の息で〝阪口、連れていってくれ〟とすがりついた声、戦友が郷土料理についてしんみりと話した翌日、必ずといっていいほど死んでいたこと。そんな光景が昨日のように思い出されて、つらかった。図書の寄贈については、市民の方々も〝役に立てばうれしい〟と喜んでくれたので、よかったと思う」と話した。
長嶺・学芸員は「阪口さんには、貴重な図書をわざわざ和歌山から持参していただたうえ、シベリヤ体験の証言もいただきました。今のところ財政難のため、図書の展示スペースもありませんが、阪口さんのお話や、図書はすべて大切な資料ですので保存、活用させていただきます」と話した。
写真(上)は、舞鶴引揚記念館へ戦争証言の図書を寄贈した阪口さん。写真(中)は寄贈した戦争証言の図書3冊。写真(下)は、シベリヤ捕虜収容所の模型の写真(舞鶴引揚記念館で販売されている絵葉書の中の1枚)。

更新日:2013年1月22日 火曜日 21:03

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