ニュース & 話題

新酒「ああうまい」感服~初桜酒造・酒蔵見学会

日本酒「高野山 般若湯(はんにゃとう)」を醸造する、和歌山県かつらぎ町中飯降85、初桜酒造株式会社(笠勝清人社長)で、2月12日(日)、国の登録文化財「酒蔵」の見学会が開かれ、同地方や近府県から計約70人の日本酒ファンらが訪れ、但馬杜氏から醸造過程を教わったり、搾りたての新酒を味わったりした。笠勝社長は「こんなにも、日本酒を愛してくれて、ありがとうございます」と喜んでいる。
同社は1866年(慶応2)に高野山麓を流れる紀ノ川畔に創業。高野山では〝飲酒禁制〟だったが、弘法大師は「塩酒一盃(おんしゅいっぱい)これを許す」と、酒の効用を認め、山上では酒を〝般若湯〟と呼んで愛飲された。昔は馬の背に酒樽(さかだる)を乗せて、山麓から山上まで運んでいたという。
同社は、弘法大師が高野山開創の際、大変世話になった丹生都比売(にゅうつひめ)神社のある同町天野の、名産〝天野米〟と高野山麓の伏流水を使用、笠勝社長と但馬杜氏が純米、純米吟醸酒を造って、橋本・伊都地方や大阪、東京へ出荷している。
日本酒は、白米を蒸して麹(こうじ)を造り、この麹で蒸し米を糖化しながら、酵母を培養し、酒母をつくる。これを仕込んで、もろみを仕立て,並行複発酵法(へいこうふくはっこうほう)で、高いアルコール分のもろみを造り、これを搾って出来上がる。
この日、笠勝社長と但馬杜氏が、見学者を午前と午後の2回に分けて「酒蔵」に案内。木造の建物は重々しく、棟も梁も柱も、どっしりと歴史の重みを感じさせる。
杜氏らは、米と水を浸す〝浸漬場(しんせきば)〟や、米と麹(こうじ)で酒母をつくる〝酒母場(しゅぼば)〟、蒸し米を寝かせる〝麹室(こうじむろ)〟、昔、使っていた〝蒸し釜(かま)〟などについて、丁寧に説明した。
この後、「高野山 般若湯」と染め抜いた、紺のハッピ姿の従業員らが、搾りたての新酒を透明コップについで、見学者に〝利き酒〟をしてもらうと、男性も女性も一様に「いい香り」ともらす。さらに、口に含むと、「口当たりがいい」「びりっとくる」「これはいける」「もうまわってきた」などと、口々に評した。
笠勝社長は「わが社の〝酒蔵〟の伝統を肌で感じていただき、新酒のうまさも味わってもらえました。これからも〝酒蔵見学会〟は続け、盛り上げていきたい」と話した。
同地方は、紀ノ川の上流にあたることから、昔は「川上酒」と呼ばれ、酒造りが盛んだった。とくに大正から昭和初期にかけて、33軒の酒蔵があったが、〝灘伏見〟が酒どころとして脚光を浴びる一方、酒の量産が進むにつれて、〝川上酒〟の廃業が相次ぎ、今では同社1軒のみとなっている。
酒蔵見学会(定員40人)は、2月19日(日)にも、午前10時から開かれる。見学無料。午後の部の見学会は、すでに定員に達している。申し込み・問い合わせは同社(0736・22・0005)へ。
写真(上)はタンク類が並んだ酒蔵内を見学する皆さん。写真(中)は新酒を味わう酒蔵見学の皆さん。写真(下)は昔使われていた〝蒸し釜〟について説明する笠勝社長(左)。


更新日:2012年2月12日 日曜日 22:02

関連記事

ページの先頭に戻る

  • 標準
  • 大
  • RSS
  • サイトマップ

検索

過去の記事